新訳 日本の歩き方

独身気ままに全国各地を3つのテーマに沿って旅をします

〔お遍路〕6番札所 安楽寺 ~ 10番札所 切幡寺

傍聴した裁判をブログに書くのって大丈夫なの?と聞かれることがたまにあります。少なくとも誰かからお叱りを受けたことはないですし、個人を特定できるような情報は出していないつもりですので、微妙なところですがギリOKなのかなと。
これに限らず、よく知らないところのルールやマナーって気になりますよね。
お遍路だって元々車を使っていいなんて知らなかったし、やってみて意外といけるもんだなと思った最中、

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そりゃそういうとこもあるよね~。ってかやっぱ境内とか、ご本尊とかパシャパシャやるのどうなんかなと思ってたところだし。
そんな訳で

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六番札所 安楽寺
は、これで終了です!

 

この記事は、
連載『霊的現象も命懸けも四国遍路の魅力なり』の一部です。
前後の繋がりなどは、下記、目次からご覧下さい。

目次
0-〔導入〕目次と冒頭解説
1-〔裁判所〕鳴門 鳴門簡易裁判所
2-〔お遍路〕1番札所 霊山寺
3-〔お遍路〕2番札所 極楽寺 ~ 5番札所 地蔵寺
4-〔お遍路〕6番札所 安楽寺 ~ 10番札所 切幡寺 ←今ココ
5-〔裁判所〕吉野川 吉野川簡易裁判所
6-〔お遍路〕11番札所 藤井寺 と地獄の始まり
7-〔お遍路〕12番札所 焼山寺
8-〔お遍路〕13番札所 大日寺 ~ 17番札所 井戸寺
9-〔裁判所〕徳島 徳島地方裁判所/徳島家庭裁判所/徳島簡易裁判所
10-〔お遍路〕18番札所 恩山寺 ~ 20番札所 鶴林寺
11-〔裁判所〕牟岐 徳島家庭裁判所牟岐出張所/牟岐簡易裁判所
12-〔お遍路〕21番札所 太龍寺 ~ 23番札所 薬王寺 と24番札所 最御崎寺まで

 

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いやぁ、さすがに半年前の訪問で、かつ写真が撮れていないお寺の印象はないよね。ただでさえ、20以上のお寺を一気に回ったんだから。という訳でどんどん行きます。


七番札所 十楽寺

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なんというか由緒正しき温泉宿みたいな山門ですね。

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階段を登った先にあるのは、

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なんとも横に長いお寺。それを表現する写真というのはなかなかに難しい。
正面に見えるのが本堂で、大師堂へは左奥の割と狭いところを通っていくので少しわかりにくいかも。右奥に見える白い建物は宿坊といって、お寺の宿泊施設。徒歩の方にとって宿泊施設も少ないエリアを進む場合、非常に役に立つこの宿坊。場所によっては朝の修行を体験することができるなど、一度は泊まってみたい場所ではあります。

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手水場。なんだか岩の化物みたいで怖い。

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一つ一つ手を合わせている人がいて、知識や重要視しているポイントってやっぱ人それぞれだよなと改めて感じる。

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本堂にお参り。こちらは平成6年に新築されたそうです。まぁ建物ですから、古くなれば新しくするのは当たり前のことなんでしょうけど、こと寺のことになるとなんかモヤっとするのは私だけでしょうか。
というか、お寺そのものが新築というか新しく開かれた場所って平成に入ってからあるのでしょうか。あるにせよ無いにせよ、一番最後に建てられた(最新)のお寺というのを知ってみたい気がする。これ意外と知られていないんじゃないですか?水曜日のダウンタウンさん、どうかお願いします。

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大師堂にもお参り。うん、やっぱこういう雰囲気の方が好き。お堂とかは古き良きを求めてしまいます。でも御手洗は最新でよろしくお願いします。ウォシュレットも完備でお願いします。

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山門をくぐったあとに上った階段ですが、裏から見るとその中にも入ることができるのがわかります。

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愛染明王縁結び、または縁切りをお願いすることができるようです。右から入る人は縁切りを望む人なんですね。どちらかというとそっちに入る人に積極的に事情を聞いてみたいですが、私は普通に左から入ります。

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こちらが愛染明王さん。手を合わせて下を見てみると、

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たらいに入った箸袋が。
この箸袋は「恋成たらいうどん」という地元のお店で頼んだらもらえるもので、その名の通り恋が成就するとされているうどん。たらいに入った白いうどんの中に、ピンクのうどんが入っているんだとか。揖保の糸にピンクいのが入っているようなもんかな。

www.koinari.jp

これが恋成たらいうどんの公式HP。軽い切り口で若い人にもという思いは伝わりますので恋愛成就を願う方がご覧になってもいいですし、細かいところがなかなかに滑っているので私のような心のひん曲がった人も楽しむことができます。

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ちなみに十楽寺の真ん前にあるこのうどん屋さんでは、恋成うどんを食べることはできませんので、お気を付けて。恋成うどんはどちらでも良かったですけど、普通にお店が閉まっている時間に行っちゃったので、引き続きういろうでお腹をごまかします。

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筆が太く、他の以上に何を書いてあるかわからない納経をいただき、十楽寺をあとにします。

 


八番札所 熊谷寺

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この古い感じもしつつ、しっかりした印象を与える仁王門は13.2メートルあり、四国八十八箇所の中では最大のものだそうです。

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ここはこの仁王門を潜ってから境内まで道路を挟むという不思議仕様。駐車場などもその先にあるので、わざわざ車を停めて仁王門を撮ってまた戻ってきました。なので、車移動の人で仁王門を見ずに帰っちゃう人もいるんだろうな。

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駐車場から進む道を歩いていると、お経なのかなんなのかが聞こえてきます。まさしく唱えている最中なのかなと思ったのですが、どこからかスピーカーで流しているだけでした。

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まず左手に見えてきたのは多宝塔。その漢字から寺のお宝が眠っていそうな塔ですが、そうではなく建築用語として平面が方形の初層の上に平面が円形の上層を重ね、宝形造(四角錐形)の屋根を有する二重塔婆のことをいうそうです。皆さん大丈夫です、書いてる僕もよくわかっていませんから。
この熊谷寺の多宝塔は安永三年(1774年)に建立されており、多宝塔としては四国地方最古の歴史となっています。ちなみに同じ1774年というのは杉田玄白らが「解体新書」を刊行したのと同じ年です。

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本堂に行く前にもう一つ門があり、階段を登っていきます。

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ここでようやく手水場。見所がそれなりにある寺だけに、手水場のホースから出てくる水に残念さを隠しきれません。

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本堂にお参りします。毎年正月三が日と、毎月18日は本尊の千手観音がご開帳されるそうです。

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大師堂にお参りするには階段を登ります。この寺あたりから徐々に階段登ったりというのが増えてきます。お寺に行くまでに山道とかは覚悟していましたけど、お寺の中の移動にも登り降りがあるので車遍路の人も多少は覚悟を。

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登って割とアングル難しいところに大師堂。きちんとこちらもお参りします。

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階段の登り降りがあるので、全く全景を映せてはいませんが、ある程度高みに登ってからの本堂(右)大師堂(中央から階段)とあとなんか(左)の位置図。この後ろが下り階段になっていて多宝塔やらになっています。

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納経はこのような形で比較的文字が判別できそうな珍しいタイプ。
伝統ある建物が多々あり、ちょっとした階段などで遍路らしさを演出してくれるなかなか印象的なお寺でした。


お次へは車で行っていると、「えっここ曲がるの?」となるところから

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畑を突っ切るような感じで進んでいった先に現れます。そういえば、七番札所あたりから、ちょいちょい車がすれ違うにはしんどい道が出てきます。

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お寺の前には小休止できそうな場所も。しかし、地蔵寺で買ったういろうで行くと決めたのと、怪奇現象のリカバリーで時間ギリギリもありここも立ち寄れず。こういう場でお遍路トークをするのもきっと楽しいんだろうなと思いつつ着きましたのは



九番札所 法輪寺

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結構な郊外に来たはずなんですが、この外観だけ見ると町中に無理やり建てたような手狭さを感じさせます。実際中もさほど広くはなく、

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ここで写っているのがほぼという感じです。
九番目に来て、手水場の写真撮り忘れ。その代わりといったらなんですが、

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猫がたくさんいる寺でした。住職が飼ってるだか、猫が好きだとか言ってた気がする。首輪もついているし、毛並みも整っているから飼っているのかな。僕が寺に入るとき他に誰もいなかったので、住職さん普通に猫と戯れていましたし。

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本堂にお参りします。

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続いて大師堂にもお参り。
時間がギリギリになってきてこのお寺は申し訳ないけどかなり駆け足でした。猫ともちょっと遊んじゃったし。

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納経はきちんといただき、ここ法輪寺も無事に終了でございます。


お次はこの日最後となる十番札所。時間がないと度々言っていますが、明るさだけならまだまだ余裕の時間帯。ですが、納経をいただける時間というのが午前7時から午後5時までと決まっているので、その時間のリミットがあるのです。
それに加えて、お次の寺に向かうには、

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車一台でやっとこさという道を通るので、出来るだけ時間に余裕を持たせたかったのです。

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ちなみにGoogleストリートビューでも途中で道案内(青ライン)をしてくれなくなるような道となります。なので、この寺に車で行こうと思っている方は、道順をある程度把握された方がよろしいかと思います。
そんなこんなで着きましたのは、



十番札所 切幡寺

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この仁王門の右がすり抜けられるようになっていて、奥が駐車場になっています。
ストリートビューが切れる先のことを心配していたのですが、そこからはただの狭い道でそこにいたるまでの方が、すれ違いできなさは相当ドキドキの道です。
ただの寺にいたる道なら、遍路閑散期ならそんなに車の心配もないのでしょうが、ここは普通に住宅が並ぶ道だけに対向車のハラハラが結構長く続きます。

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そんな切幡寺の駐車場ですが、車上荒らしが多発しているようでして、手荷物を中に置いておくと危険のようです。猿多発地域みたいな寺ですね。
ちなみに僕も初見じゃそこに気付きませんでしたし、あまりお薦めはしないのですが、仁王門の先にある駐車場を無視してさらに進んでいくと、

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超急勾配で、本当にここ車で進んでいいの?という道がありまして、その先が、

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寺の裏手の駐車場という裏技があります。
ですが、先ほどの通りお薦めしないのが、まず初見では駐車場を無視して進むというトリッキーさに気付かないであろう点、対向車が来たら潔く死を選ぶか、パニクって号泣するしかないような道である点、そしてなにより

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この寺の名物の一つである333段の石段を登るという経験ができません。できれば歩きましょう。
この切幡寺、仁王門先の駐車場に車を置くと、そこからしばし歩き、

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この杖無し橋という杖をついてはいけない橋を過ぎたら、その石段を登っていかないと本堂に着かないのです。
ちなみに、橋の上で杖をついてはいけないというのは、ここの橋に限った話ではなく、歩き遍路通じてのルールでございます。
弘法大師空海は、今もなおお遍路をしていると考えられています。空海は雨をしのげる橋下で寝ていると言われており、その橋をを杖でこんこんとやってしまうと空海を起こしてしまうため、橋の上で杖をつくのは禁じられています。ようやくお遍路らしい知識が出ましたね。

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ちょうど中間くらいで手水場があります。人が近づくと灯りがつく最新仕様。登りきったところにもあったけど、また写真に納めておらず。終盤に来てどうした
正直、この階段かなりキツかった記憶はあるんですが、やはり納経の時間の関係もあり写真も撮らずに大急ぎで登りました。

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着いたのはこちら。かなり登った先に広がるのは割とコンパクトな景色。

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順序が逆ですが、先に納経をもらっちゃいます。
霊山寺でのオカルト現象でだいぶ時間はとられましたけど、なんとか初日の巡礼は予定通りに終わらせることができました。今気づいたんですけど、霊山寺って「霊」の字が入っていますね、今さらながらぞっとしちゃった。

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本堂にお参り。先にお参りしている人がいるけど、この人は夫婦二人で車遍路していて、十楽寺あたりからほぼほぼ同じタイミングで参拝することに。旦那さんの方はかなりハキハキと読経もしており慣れている様子。次の日の最初のお寺でもお会いし、そこからは知らない。

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大師堂にもお参り。右手前には弘法大師がいらっしゃいますね。

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これは「はたきり観音」というもの。右手にハサミ、左手に布を持っています。

この切幡寺というお寺、寺伝によれば修行の弘法大師が着物が綻びてしまったため、機織の娘に継ぎ布を求めた。娘は織りかけの布を惜しげもなく切りさいて差し出したことに弘法大師は感激し、娘の願いとして父母の供養のための千手観音を彫ってあげた。するとたちまち娘は即身成仏して千手観音の姿となった。
そのことを嵯峨天皇に伝えたところ、勅願により堂宇を建立し、空海の彫った千手観音を南向きに、娘が即身成仏した千手観音を北向きにし安置し、ご本尊として開基したとのこと。そのことから「切幡寺」の名前がついたんだってさ。

歴史ネタがもう一つ。

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もう階段は嫌だけど、細く、狭い階段を登っていくと

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切幡寺大塔という国指定重要文化財が建っています。
この大塔は徳川家康の勧めにより、豊臣秀吉の菩提を弔うため豊臣秀頼が大坂・住吉大社神宮寺に建立したもので、明治六年に解体移築したものだそうです。それにしちゃ随分な場所に建ってはいるんですが、

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少なくとも本日回った中では一番高いところに建っているこの大塔から眺める景色に、なんか戦国時代にタイムスリップしたような感覚になり、しばらく眺めていました。
そして数分もしない内に、

 


登ったってことは、降りなきゃいけないんだよな…と思い、また行きにヒヤヒヤしながら進んだ狭い車道に帰っていくのでした。

そんなこんなで駆け足でしたけど、初日の巡礼を終えました。
このあと、1軒裁判所を訪問して、魔の2日目に突入します。


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